コンビニって身近にありながら、とても重要な役割になっていますが、今のコンビニ業界はとても厳しい状態に立たされています。なぜ、このような状態になってしまうのか、そして、今後のコンビニはどのようなイノベーションを起こしていくのかが気になるところですね。
コンビニの仕事ってどんなこと?
コンビニに仕事ってどんなものなのか気になる方も多いのではないでしょうか。普段考えてみても、スーパーと同じような仕事しているじゃないかと思われがちですが、コンビニには特殊なものがたくさんあります。
レジでの対応
コンビニではレジ対応は基本的な仕事の1つです。ほかにも品出しがありますが、それと同じくらい重要なものです。アルバイトが最初にやる仕事はレジ接客です。レジは接客の基本といえるコンビニで働くなら押さえておかないとまずいものです。
ただ、コンビニのレジはPOSレジと呼ばれ、お客さんが買い物したものやどんな人が買ったのかを把握するための情報収集ツールでもあるのです。そんなレジですが、スーパーなどのレジとは異なる点がたくさんあります。
まず初めに宅配便の受付です。コンビニではヤマト運輸、日本郵便の配送物の受付仲介を行っています。コンビニが受付をして、配達業者が荷物を持っていくという流れになっています。そのため、荷物の大きさや重さなどの情報をしっかりと覚えておかないといけないのです。特に配達物は店員が保証できるものではないので、慎重に処理をしなければいけない仕事です。
2つ目は公共料金の受付です。コンビニで支払う公共料金は増えてきていますね。税金もコンビニに行けば支払えるような時代になったことと、ネットショッピングをする層が増えているので、今まで以上に大変になっています。
3つ目はレジ点検です。レジの中の金額とデータでの金額ってどうなの?というのを調べます。これをしないと、いくら間違えているのかがわからなくなってしまいます。そのためにも重要な仕事の1つです。そして、コンビニはお金を入れると出てくるタイプではなく、店員が自分でお金をおつりとして取り出さないといけないので、多少のずれが生じてしまうわけですね。
揚げ物や中華まん、おでんの補充
レジの前に行くと揚げ物などがたくさん並んでいます。これはコンビニの戦略であえて見せるように並べられるとついつい買ってしまうということがありませんか。揚げ物を普通に置いてあると冷めているように感じますが、赤外線で少し赤めのライトで照らされていると暖かそうですぐに食べられると考えてしまうので、買ってしまうわけです。
でも、実際に赤外線によって温められているので、注文されたときに温かい状態で提供できるようになっています。そして、揚げ物などは時間帯によって売れるものが異なったりするので、売上データをみながら、売れるものを多めに売っています。そして、たくさんあるものを取ってしまう傾向があるので、お客さんはついつい買ってしまうことになるわけです。
コーヒーメーカーのメンテナンス
コンビニでコーヒーが提供されるようになったのは、つい最近のことですね。最初はセブンかミニストップのどちらかでした。そのあとにローソンやファミリーマートなどがコーヒーメーカーを導入しました。
基本的にドリップ式になっているので、コーヒー豆の補充やペーパーの補充、挽いたコーヒー豆の処理が主な仕事となっています。
仕事としては大変ではありませんが、レジが込んだ時にコーヒー豆のカスがたまってしまい、ドリップができなくなった時にとても大変になります。また、コーヒーを飲む人が増えるとその仕事も多くなってきます。
また、セルフサービスでもコーヒーをこぼしてしまい、どうしようもできないこともあります。そのようなトラブルもすべて対応しなければならないのです。新しいものが増えると店員に負担がかかってきます。
商品の検品作業
コンビニではスーパーなどと異なり、大口での発注を行いません。店舗の大きさが限られているにもかかわらず、たくさんの商品を置くため、検品作業でしっかりとモノが届いているのかを把握する必要があります。
基本的にバーコードを読むことで検品できるものが主ですが、近くの八百屋で野菜を仕入れている場合や、新聞や雑誌などは基本的に紙に書いていくことになります。
そのため、検品に時間がかかってしまうことがあります。それに新聞や雑誌などは返品処理を行うことになっているので、これもしっかり行わなければ損失が出てしまうのがコンビニです。
そして、一番検品作業が多いのはデイリー品と呼ばれるおにぎりや弁当、デザートなどの消費期限が近いものです。デイリー品は発注する量が多いため、少し多めに入荷していたり、少なかったりが起こりやすいです。そのため、コンビニでは特に注意して検品しているものになります。
発注
どのお店でも発注=仕入れは欠かせません。発注を行わないとお店に商品がないことになり、ただの箱みたいになってしまいます。また、お客さんも商品がないような場所にはいかないため、そのうちつぶれていくことになります。
それを防ぐために発注を行い、商品をいつでも常備しているわけです。でも、コンビニの半分以上は食べ物を扱っているため、賞味期限や消費期限が短いものが多くあります。
だからこそ、しっかり発注を行わないと売れない商品がゴミ(廃棄)になってしまうので、それを防ぐために発注はコンビニの中でとても重要な仕事といえます。
基本的に社員やパートなどが発注するケースが多いですが、最近は非正規労働者であるパートやアルバイトの率が多く、社員が1~2人程度になってしまい、パートやアルバイトが発注するようになっています。
また、パートが少ない時はほとんどがアルバイトの場合、アルバイトの仕事として位置付けているコンビニも多くあります。その割には、時給が上がらないなどの問題点が存在します。
このように発注はお店の中でとても重要な仕事であり、レジのデータや天候をもとに発注する量を決めています。
ノルマ
コンビニで一番つらいといわれるのがノルマです。どの業種にもノルマ(目標)というものが存在し、それを達成するために仕事をしているようなものです。
どうにかしてノルマを達成するために、従業員も購入を促されます。
コンビニの問題と課題
コンビニにはどのような問題があるのでしょうか。コンビニの仕組みを見直すことが今後の課題になりそうです。無人コンビニが登場しているように、人手不足が第一に問題として挙がってくるでしょう。そのほかにはどのような問題が出てくるのでしょうか。
人手不足により、負担が増加
どこでも触れられる内容として人手不足が問題になります。特に、コンビニが多い地域ではいつでも人手不足状態で運営されています。基本的に24時間営業をしているため、各時間帯に2~3人は必要になります。
そして、年中無休ということもあり、1週間のうちに7日間は人手が必要になります。週1回の定休日の場合は、1週間のうち6日間をシフトで振り分けることでうまく回っていきます。でも、コンビニはそうはいかないのです。いつでも人手が必要になるのです。
だからこそ、特に人手が必要なのですが、人手よりも店舗の数が異常に多いため、いくら働く人がいても間に合わないということが起きるわけです。多角化していくのもいい考えですが、縮小していくことも今後必要になってくるのかもしれません。
非正規労働者の増加
コンビニは基本的に社員は店長や副店長でほとんどがパートやアルバイトでシフトを回しています。そのため、社員は2人ほどしかいません。ということはいつ辞められてもおかしくない状態にコンビニは立たされているわけです。
そして、パートやアルバイトは通勤手当などは出ないので、近場の方々が働いているというのが現状です。
なぜ、これが問題なのかというと、非正規労働者は収入が時給制のため、変動しやすいのが問題です。
昔の日本では社員が基本でパートとアルバイトは学生や主婦の方が行うとされてきましたが、フリーターとされる方が増加して、景気が悪くなり、社員を雇うほどのお金が会社にないから、安く労働を使おうと考えたことが非正規労働者が増えたことにつながります。
フランチャイズ契約による個人事業主の苦しみ
フランチャイズを前回の記事で説明しましたが、個人事業主には大変な苦しみがあります。フランチャイズという仕組みは本部が儲かるようにできたビジネスモデルです。
ただし、個人事業主はどうなのかは聞いたことがありませんが、利益は出ないでしょう。そして、食べ物を扱っているところにフランチャイズは多いので、保管しておいた在庫が腐ることもあるでしょう。でも、それを保証する義務は本部にはないのです。
あくまでもその会社にあるものが腐ったのだから、その会社の責任でしょうとなるのが、本部と個人事業主の会社が違うとこのような解釈が生まれてくるのです。これによって、助けを見込めないこともあるわけですね。厳しいコンビニの世界です。
ロイヤルティから生まれるビジネスモデル
先ほど触れたようにコンビニはブランドの使用権利をロイヤルティとして回収します。これがとても厳しく、半分以上取られることもあるので、フランチャイズ店(FC店)は経営が厳しくなります。そして、削減する場所は人件費ぐらいしかないので、時給が安くなってしまうのがコンビニなのです。このビジネスモデルによって苦しめられているFC店がたくさんあるのが現状です。
コンビニの問題と課題の解決策は?
コンビニの問題を上げてきましたが、解決する策は存在するのでしょうか。FC店のみで行うことは難しいですが、本部が改革を起こせば実行は可能だと考えられます。私が考えるコンビニの問題を解決する策を説明していきます。
フランチャイズ店での戦略的志向
フランチャイズといっても1つの会社であることは間違いありません。だだ、他社の看板を借りていることに過ぎないのが、フランチャイズ契約です。
ンビニブランドの戦略だけを使用するのではなく、個人店として戦略をしっかり持つべきではないかといえます。本部はあくまでも自社に有利になるような戦略を教えることで利益を得ることができるのがわかっているからです。
大きな会社がやっていることを小さな会社がやろうとしても経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が不足しているので、なかなか実行に移せないことが主になってしまいます。そんなことがないようにするには、フランチャイズ店である個人事業主も他社に負けない戦略を打ち出していくことが必要ではないかと思います。
人件費を増やし活気のあるお店へ
経営をしていて一番削減しやすいのが人件費といわれています。人件費以外は維持費や仕入れなどに使用する費用だとなかなか削減しにくいところです。でも、人件費ならアルバイトの時間帯の人数を減らすことで費用は減りますね。
でも、人件費を減らせばいいという経営者には今後、危機に陥るかもしれません。なぜかといいますと、政府がついに賃金上げに推進し始めたからです。
今までは、見て見ぬふりをしていましたが、あまりにもブラック企業というものや生産率が上がらないなどの国が動かないといけない状態まで来てしまったことにあるのです。
推進が始まったわけは、最初に書いた人件費を落とすことで経費削減する企業が増えたからです。ということは、人件費が減ってしまい、税収が良くないなども出てくるでしょう。
政府としては税金を巻き上げたいけど、従業員の年収が減ると所得税を多くとれない。それなのに、企業はお金を貯めこんでしまう。これを見ていられなくなったのでしょう。あくまでも仮説ですが、可能性として十分あり得ます。
ただし、それだけではありません。社会問題として浮上してきたからでしょう。働き改革といいながら、全然改革が起きていないじゃないかということと、逆にきつくなって、年収も減っているよというサラリーマンからの不満もこの問題を大きくした理由でしょう。
以上の理由から人件費を増やすことで従業員の年収も上がり、winwinの関係が気づけるのではないでしょうか。
でも、それだけでは日本人は満足しません。環境も重要になるので、そのような意味でも画期なお店にして、環境がいいと思わせていくことが今後のコンビニには必要ではないかと。
中小企業であるという認識
コンビニの一店舗一店舗は中小企業が運営しています。本部は大企業だとしてもほとんどが中小企業だということは、大きな戦略をとることは不可能に近いです。
大企業の資金力などには到底かないません。ではどうするべきかは、大企業がやらなそうなニッチ的なところを責めることです。
ニッチとはすきまという意味でニッチ市場というのがあり、大企業が参入しにくい市場であるという意味です。だからこそ、中小企業にできるわけです。
小さなことをコツコツやっていくことも今後重要なことでしょう。大企業だけに従っていても、いつ切られるかわからないのですから。
意思決定できるフランチャイズ店になる
コンビニのオーナーには本部のいうことは絶対だと思っている方がいらっしゃいますが、本当に自店舗にその戦略が有効なのかと考える必要があります。フランチャイズの戦略的志向の部分で触れましたが、大企業と中小企業では戦略が異なります。
本部は大企業でも店舗自体は中小企業です。だから、同じ戦略で生き残れるかというと微妙なところです。現在はコンビニが多数あるので、顧客の奪い合いでコンビニ業界は飽和状態といわれることもあります。ブランドがあるから勝ち残れる時代は終わったのです。
今まで考えてこなかった他店との差別化を図っていくことが求められていくでしょう。同じブランドでも何が違うのかというのも重要になってくるかもしれません。そこにしかないものを求めていくような店舗づくりが今後必要です。そのためにも、意思決定を店舗ごとでできるようにならないといけないでしょう。
今後のコンビニ業界の行方とは
今後のコンビニ業界は未知です。アメリカでは無人コンビニが誕生して、Amazonなども参入するようなことがニュースになっています。
日本でもローソンが無人コンビニを実験的に行っているなど、コンビニ=イノベーションというのは今後も変わらないかもしれませんが、フランチャイズの仕組みは改善の余地がありそうです。
人件費を減らして従業員を使い倒すビジネスモデルは崩れていくのではないかと予測しています。景気が上がって、どの企業も賃金上げを行っていけば、コンビニだけ取り残されることになります。そうなれば、人件費を上げないといけなくなるでしょう。ただでさえ、人手不足であり、働き手が減っている世の中に合わなくなってしまうでしょう。
コンビニも無人化にしてくる可能性が今後高くなり、そこで人件費を落としていくかもしれませんが、それは数年後の話であり、今の問題を解決していくことが各社求められていくことであると予測します。
まとめ
2回にわたって、コンビニ業界について触れてきましたが、問題が山積みであることがわかったでしょうか。日本経済に大きな影響を与えるであろうコンビニの存在は、課題解決していくことが必要であるとわかったでしょうか。
企業はいくらでも変われると思っていますが、なかなか改善しようとしないのが企業というものです。でも、改善していった柔軟な起業家が今後の社会を担っていくような気もしてきます。
挑戦的な会社である必要はありませんが、課題を改善できるほどの会社が多く増えていくことを願っています。